7月2日トークイベント @代官山 蔦屋書店
NEWS | 2025/06/17
わたしが「spoken words project(スポークンワーズプロジェクト)」というブランドに出合ったのは、2000年代、18歳の夏。吉祥寺の古びた秘密基地のようなセレクトショップで、天窓から差す光に浮かび上がる、布と服の展示。
美大を目指しはじめた浪人生のわたしにとって、それはただの服ではなく「ものを作って生きる」ことへの扉でした。
この度、YUKI FUJISAWA 初の書籍『わたしを編む』の出版を記念して、学生時代から師匠として敬愛する spoken words project/PAMMデザイナー・飛田正浩さんをお招きし、【7月2日(水)スペシャルトークイベント】を開催します(代官山 蔦屋書店+オンライン同時開催)。
独自のパターンを手刷りのシルクスクリーンでプリントしたテキスタイル。どこで布をカットするかによって、模様の表情が変わる。おなじものは二度と生まれない、世界に一着だけの服。
spokenの服作りは美術書で見たどんなグラフィックやパターンよりも自由で、気ままで、そして運命的でした。配置された色や図形は、硬い顔料のようなプリントもあれば、刷毛で色をすっと挿したような染めも。手仕事による、偶然のようでいて、そこにあるべくして存在するテキスタイル。
こんな魔法のようなものづくりがあるなんて、飛田さんが通っていた多摩美術大学の染織学科に行けば、あの世界に少しでも近づけるかも。改めてテキスタイルの道を志す決意を固めた出合いでもありました。
それから多摩美の1年生になり、ご縁あって錦糸町のアトリエへインターンへ通う日々に。当時の飛田さんは、鬼気迫る親方のよう…。手仕事のプリントを終えると、アトリエの入り口の翳りで煙草をふかしていた姿が、今も思い浮かびます。
寡黙で、身体も大きい飛田さん。アトリエには謎のビールの空き缶や、いつも首から下げているプルタブのネックレス、これまた配置が決まっているのかいないのか、不思議で魅力的な置き物や絵がたくさん。最初の頃はあまりにも緊張しすぎて勤務中にトイレへ行きたいとも言えず、帰り道はコンビニへ駆け込む日々…。
学業の合間を縫いながらアトリエへ通い、大学では教えてもらえない多くのことを学びました。
本当にずっとずっと、ものづくりに真剣で、心身ともに常に全力。spokenは飛田さんたちが学生時代に始めた活動のため、インディペンデントなブランドで、後ろ盾もない。そんななかでも、続けていく勇気と覚悟を両手に、真摯な心と、ものを作る手がそこにある。自分の道のゆく先のひかりを、いつも見せてもらっていました。
その姿から自分がどんなふうに生きて、なにを信じたいか、教えてもらっていた気がします。あの経験が学生時代にあったことはなによりも得難く、いまも自分の道を照らす大切な記憶です。
そんなspokenとの時間を経て、ついにこの夏、飛田さんとふたりで初の公開対談を行います。
布や服の話にとどまらず、創作に興味があるすべての方へ向けて、「ものを作り、生き方をどう編んでいくか」という問いに触れるひととき。「自らの手でつくる」「続けてゆく」をめぐって静かに深く語り合います。
日々を大切に生きることや、自分なりの続け方を見つけたい人へ、とどきますように。
言葉も、布も、居場所も。自らの手で作り上げてきたふたりだからこその夜に、ぜひご参加ください。
(じつは、今回はじめての飛田さんとの師弟公開トークなのです。今回こそは休憩時間にトイレへも行けるでしょう。しかし、たのしみでうれしくて緊張…!)
【スペシャルトークイベント】
藤澤ゆき(YUKI FUJISAWA)× 飛田正浩(spoken words project/PAMM)
■日時
2025年7月2日(水) 18:00 - 20:00
■場所
代官山 蔦屋書店 または オンライン
■チケット種類
(1)会場参加 2,200円
(2)会場参加+書籍「わたしを編む」付き 6,600円
(3)オンライン参加 1,650円
(4)オンライン参加+書籍「わたしを編む」付き 6,600円
【登壇者プロフィール】
■飛田正浩
@tobbyspoken @spoken.words.project @pammofficial
ファッションブランド「spoken words project 」 主宰。多摩美術大学染織デザイン科在学中から様々な表現活動を行い、1998年東京コレクションに初参加。
手作業を重視しアトリエにて自らが染やプリントを施した服作りに定評がある。現在はホームウェアブランド「PAMM」のデザインなども担当。また芸術祭参加などその表現領域は多岐にわたり、アパレルブランドの枠を越え独自のファッション感にて活躍中。
■藤澤ゆき
@yuki__fujisawa
テキスタイルレーベル「YUKI FUJISAWA」代表。「記憶」「時間」「経年変化」といったキーワードを軸に、人それぞれ変化することを尊重してもらえるよう、時を超えて流れ着いたものに手を加え「新しい価値」を提案するデザインを大事にしている。